講談社から2022年1月に出版された児童文学『おはなしSDGs 産業と技術革新の基盤をつくろう おいしいごはんとあまいコーヒー』について作者の片川優子さんにうかがいます。
日本YA作家クラブ 会員インタビュー 第6弾は、会員さんへのアンケートとメールのやりとりをもとに、世話人の梨屋アリエが報告します。最新のYA作品や、みんなが知っているYA作品、YA層に読んで欲しい作品、その他、会員さんの情報としてYA作品以外の本の情報も、発信していきます。掲載順は、会員さんのお仕事のご都合に合わせて、決めていきます。更新は不定期になります。どうぞよろしくお願いします~。
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片川優子さんにインタビュー
片川優子さんは中学校の宿題がきっかけで書いた小説『佐藤さん』が講談社児童文学新人賞の佳作となって、15歳の時に作家デビュー。梨屋は出版社のパーティーに制服姿で参加している片川さんを目撃したことがあります! (あの子はどなたのお子さん?)(え、受賞者!?)という会話がささやかれていました(笑)。その後も作家活動をしながら大学院で博士号を取得し、現在は獣医師をしながら作家活動をしています。
『おいしいごはんとあまいコーヒー』を、一言で言うと?
(片川さん)SDGsをわかりやすく知ることができる本です。おおよその対象年齢は、小学校上級からです。
執筆のきっかけは?
(片川さん)講談社からの依頼で執筆しました。お声がけいただいたのが最後の方だったので、もう難しいテーマしか残っていなかったのですが、そのなかでもあえてより難しいテーマを選んで執筆にチャレンジしました。
当初はコロナのワクチンをテーマにしようと思いましたが、タイミング的なことや、もっと広いテーマの方がよいかも、という話し合いの上、ベトナム人留学生が自国の生活環境改善を目的として、米の遺伝子研究をする、という現在のテーマに落ち着きました。
(梨屋)登場人物をベトナムのかたにしたのはなぜですか?
(片川さん) ベトナムには大学生のときに友人と旅行したことがあり、中部のフエという町にもいきました。トゥクトゥクに乗って町を眺めていると、友人が「私がこの国で生まれていたら、どんな生活をしていたんだろう」と話していたのがとても印象に残っていたので、今回物語にベトナム人留学生を登場させました。
(梨屋)学生時代の体験やお友達の言葉が、きっかけの一つになったのですね。
(片川さん) 生まれる国や家庭は選べませんが、どんな人生を選ぶのかはある程度自分次第なのではないかと思います。やりたいことや目標を見つける、見つけた目標に向かって自分にできることをする、ということの大変さや尊さが伝わると嬉しいです。
(梨屋) 執筆中に印象に残っていることはありますか?
(片川さん) かなり前からお話はいただいていたのですが、下調べを終えた時点で力尽き、結局ギリギリの進行になってしまいました。執筆中は第二子を妊娠しており、つわりなどに苦しめられましたが、なんとか出産前に原稿を書き上げることができました。出産をまたいでゲラをチェックしたりバタバタでしたが、無事に出版できてほっとしています。
(梨屋)え~、それはすごい! お二人目のご出産おめでとうございます。執筆時の作者の事情を知って読むと、また違った面白さが見つかるかもしれません。
(片川さん) ありがとうございます。私は妊娠するとつわりがひどく、コーヒーが飲めなくなるのですが、妊娠後期はコーヒーを飲みたい気持ちが強く、コーヒーにまつわる話ばかり執筆していました。
(梨屋)ベトナムといえば、甘~いベトナムコーヒーが有名ですね。でも、たしか、妊娠中のカフェイン摂取はよくないのですよね? がまんされていたのですか。
(片川さん)少しだったらカフェインをとってもいいのですが、チョコレートも食べたかったので、コーヒーはずっとデカフェを飲んでいました。妊娠後期は特に、いつコーヒーを飲み、なんのチョコレートを食べるかで頭がいっぱいでした(笑)。
出版社による本の情報サイト
片川優子さんProfile
東京都出身。愛知県在住
小説家、獣医師
Instagram @yuko_katakawa
執筆以外の最近の活動や関心ごとを一言おねがいします。
(片川さん) 2020.3に愛知県で夫と動物病院を開院し、獣医師として働きながら執筆しています。最近は、動物の飼い方に関するコラムも執筆中です。
「現代ビジネス」コラムのページ (https://gendai.ismedia.jp/list/author/yukokatakawa)
(片川さん) 2021.10に次女を出産し、二児の母になりました。娘たちに絵本を読み聞かせていますが、絵本はとても奥が深くて勉強になります。
最近病気のプードルを引き取ることになり、犬二匹、猫二匹、子ども二人の大所帯になりました。
ところで……
(梨屋)別件で、追加の質問です! 片川さんが大学生の時に書かれて、単行本で出版した『100km!』という作品、文庫化するときに『明日の朝、観覧車で』に改題されましたね。この改題のきっかけは片川さんからですか? 出版社のかたからの提案ですか? 文庫版のタイトルは、内容がイメージしやすくて素敵ですが、単行本の時のタイトルもインパクトがあって面白いなと思っていたので。
(片川さん)そこに興味を持ってもらえて嬉しいです。単行本は児童書として出版したのですが、文庫化する際は一般書になり、編集部も担当者も変わりました。その際、「もう少しタイトルを凝ってみましょう!」ということで、編集者二人と二時間くらいかけてタイトル会議を行なって決めました。タイトルを決めるのはいつも苦手でシンプルになりがちなので、タイトル会議をしていただけたのはありがたかったです。
(梨屋)へ~! タイトル会議の結果だったのですね。 子どものころに学校の図書館で『100km!』を読んだ皆さん、あのお話、今は文庫版や電子書籍で読めますよ~。
その他の近刊
2019年4月 『ただいまラボ』 (講談社文庫)
2018年11月『ぼくとニケ』(講談社)
片川優子さん ご協力ありがとうございました。
日本YA作家クラブでは年に二回、図書館や学校図書館、読書推進活動をしている団体様向けに、ニューズレターを発行しています。
片川さんには「日本YA作家クラブ ニューズレター 第4号」の「作家・翻訳家のお気に入り調査隊」コーナーに、ご登場いただきました。
ニューズレターについての情報は、公式サイトを御覧ください。下の図からリンクしています。
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