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インタビュー 児童文学作家の令丈ヒロ子さん YA小説『妖怪コンビニで、バイトはじめました。』の続きは、児童向けの新シリーズになるかも!?

(令丈ヒロ子さん初のノンフィクション作品が12月中に2冊刊行されますが!!)、あすなろ書房から刊行された『妖怪コンビニで、バイトはじめました。』について作者の令丈ヒロ子さんにうかがいます。


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日本YA作家クラブ 会員インタビュー 第6弾は、会員さんへのアンケートとメールのやりとりをもとに、世話人の梨屋アリエが報告します。最新のYA作品や、みんなが知っているYA作品、YA層に読んで欲しい作品、その他、会員さんの情報としてYA作品以外の本の情報も、発信していきます。掲載順は、会員さんのお仕事のご都合に合わせて、決めていきます。更新は不定期になります。どうぞよろしくお願いします~。
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令丈ヒロ子さんにインタビュー

  

映画にもなった青い鳥文庫「若おかみは小学生!」シリーズでおなじみの作家さん。最近は、絵本や伝記の執筆もされています。令丈節のきいたYAエンタメ作品も、読む価値ありです!!


『妖怪コンビニで、バイトはじめました。』のおおよその対象年齢は?


(令丈さん)中学生向けですが、作者的には小学五年生から読んでも理解できるYAを目指しました。


(梨屋)今回の主人公は中学二年生の男の子なのですね。しかも生きてる人間が苦手というキャラ。


(令丈さん)イズミは生まれつき、人の本質である「核」が映像で見えてしまう、また妖怪や幽霊なども見える特殊な体質です。たまたまはいりこんでしまった人外向けコンビニ「ツキヨコンビニ」では、幽霊や妖怪に対して冷静に対応できるその才能を重宝され、バイトにスカウトされるのです。


(梨屋)異界のコンビニは、人外用なので労働基準法の適用対象外なのです……。そのあたりの説明、やるな、と思いました。


(令丈さん)とにかく、一生懸命、世の中から距離を置いて、諦念と共に静かに生きている子なのに、イヤごとに巻き込まれまくるというお話です。読者さんには、「がんばれイズミ……」と思ってお話を楽しんでもらえたらいいな、イズミの日々をハラハラしながら見ているうちに、自分のイヤごとから少し距離を取れたりしたらさらにいいなと思います。


(梨屋)令丈さんの作品って、働く子やだれかの役に立つことをする子がよく登場していると感じるのですが、そこを意識して書かれているのでしょうか?


(令丈さん)はい。わたしが児童書作家を目指していたころは(1990年デビュー)は、日本の児童書に「自分の好きな分野を楽しんで追求する」子どものお話があまりなくて、あってもお稽古事の範疇とか、やむをえない事情でがんばるとか、実は恋の方が大事とか……などの印象です。

 そこで、楽しく読める「大人と互角に競えるようなスキルを才能と努力によって得た子どもが主人公のお話」を書くようになりました。自分が子どもの時に、子どもが大人もビックリの活躍をする明るいお話が好きだったからです。

 その流れで「子どものお仕事チャレンジ話」や「子どもが自分の生活を自分で差配するスキルを持つ」話を書くようになり、それが結果的に「誰かの役に立つ子ども、働く子」像になったのかと思います。

 今でも意図としては「子どもが大人の役に立つためにがんばる」話は望んでいません。本人なりに考えてそれが自分の望むものだから、その方向を選ぶ、もしくは本人の適性がそこにあって自然とそうなる、流れで描くようにしています。


(梨屋)なるほど。やはり意識して書かれていたのですね。


今回は、どんなきっかけで書かれたのでしょうか?


(令丈さん)依頼は「中学生男子が活躍する話」だけ(締め切りもページ数も特に決まっていない)だったんですが、書いているうちに、けっこう切ない話になってきて。主要登場人物の三人それぞれの背景、家族関係を書き込んでいるうちに、「本当になんで、人は自殺しちゃダメなんだろう?」とか「望まず死んでしまった子どもの気持ちをどうしてあげればよいのだろうか」とか、書きながら、作者も深みに入り込みそうになりました。

 この本は、プロットにも一稿にも担当編集さんから意見は入らず。ゲラになって、はじめて「もっと思い切り、書きたいこと、書き込んでください」という意味のメッセージがきました。

 おそらくエンタメとして、軽めで明るい読後感のもののほうがいいのか、ざらつきを感じさせても、イズミの抱えている心の奥の問題や、寂しさをぐいぐい書いたほうがいいのか、迷っているのを、感じられたお言葉だと思います。で、やっぱり書こうと思い、終わりの方の、黒猫の思い出部分を強めに書き入れました。


(梨屋)いつもは、どのように書かれているのでしょうか?


(令丈さん)わたしはだいたいプロット段階で担当さんとよく話し合い、何度もプロットを書きなおし、そこで完成度を高めて、原稿では根本的なところにかかわる直しは入れない書き方をしています。それは、児童文庫やシリーズものでは、刊行時期を動かせないことが多く、土壇場で大きい改稿をすると締め切りに間に合わないし、挿し絵を書くイラストレーターさんにも迷惑をかけてしまうことになるので、だんだんそういう書き方が自分の定番になりました。

 ですので、今回のような「ずっと放し飼い」ぽい担当さんとのやりとりは、とても新鮮でした。一冊書下ろしということもあったでしょうが、やっぱり、編集担当さんによって、導き方はこんなにちがうんだなあと思いました。


(梨屋)放し飼い(笑)。発売日厳守の連載のときとは、かなり違うのですね。


(令丈さん)さらに「へー!」と思ったのは、この本はまずまず好評で、重版も早めにかかったんです。そしたらふつうは「続編を」となるのですが、そこをあえてはずして、妖怪コンビニと言う設定を残し、主人公の年齢、また読者対象年齢を低くした新シリーズをという依頼があったんですね。

「そう来たか!」と言う感じで。新しい試みに今、わくわくしながらお話作りを進めています。


(梨屋)新シリーズ! それは楽しみです。でも、YAのほうの続きも読んでみたいです~!



出版社による本の情報サイト



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令丈ヒロ子さんProfile


大阪府出身、現在大阪府在住。

児童書作家

Twitter @kuriokami
















(梨屋)さてさて、この12月、令丈先生初のノンフィクション作品が出版されるそうです!! みなさん、ぜひ手に取ってみてください!

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新刊情報

12月『よみがえれ、マンモス!近畿大学マンモス復活プロジェクト』(講談社)

12月『波乱に満ちておもしろい! ストーリーで楽しむ伝記 (6)  紫式部』(岩崎書店)


令丈ヒロ子さん ご協力ありがとうございました。



レター

日本YA作家クラブでは年に二回、図書館や学校図書館、読書推進活動をしている団体様向けに、ニューズレターを発行しています。


令丈さんには「日本YA作家クラブ ニューズレター 第6号」の「作家・翻訳家のお気に入り調査隊」コーナーに、ご登場いただきました。


ニューズレターについての情報は、公式サイトを御覧ください。下の図からリンクしています。



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