講談社から2021年10月に刊行された『ポーチとノート』について作者のこまつあやこさんにうかがいます。
日本YA作家クラブ 会員インタビュー 第6弾は、会員さんへのアンケートとメールのやりとりをもとに、世話人の梨屋アリエが報告します。最新のYA作品や、みんなが知っているYA作品、YA層に読んで欲しい作品、その他、会員さんの情報としてYA作品以外の本の情報も、発信していきます。掲載順は、会員さんのお仕事のご都合に合わせて、決めていきます。更新は不定期になります。どうぞよろしくお願いします~。
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こまつあやこさんにインタビュー
こまつさんは講談社児童文学新人賞の『リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ』で2018年にデビュー、2作目の『ハジメテヒラク』で今年、第54回日本児童文学者協会新人賞を受賞されました。この『ポーチとノート』が3作目となります。
今回は17歳の女の子が主人公ですが、『ポーチとノート』のおおよその対象年齢はどのくらいですか?
(こまつさん)小学校高学年から楽しんでもらえると思います。
(梨屋)ひと言でいうと、どんな本ですか?
(こまつさん)生理など、からだの悩みを抱える女子の味方! な本です。もちろん、男子にも読んでもらえたらうれしいです。
(梨屋)この本の執筆のきっかけは?
(こまつさん)女子のからだと恋を題材に小説を書きたいと、デビュー前から思っていました。学生時代に私自身が誰にも相談できず悩んでいたことだったからです。当時の自分に届けるつもりで、この物語を書きました。
(梨屋)執筆中、どんなことをされましたか?
(こまつさん)国際語のエスペラントを学び始めました。主人公の未来は、恋する保阪さんの影響でエスペラントと出会うのですが、私も一緒に学習しながら書きました。世界には、エスペラントを話す人が120か国100万人ほどいると言われています。
(梨屋)エスペラント語というと、わたしのような年上の世代にとっては「懐かしい」と感じてしまいますが、こまつさんは、いつごろなにで知りましたか。
(こまつさん)3年位前に、偶然ばったり再会した小学校の恩師から、エスペラントを学んでいると聞いたのがきっかけです。
「人工的に作られた言語なんてあるの!?」とびっくりしました。
最近では、『ことのはアムリラート』というエスペラントを取り入れたゲームで、エスペラントに興味を持つ若い人たちも多いようです。
(補足 『ことのはアムリラート』は2017年発売の純百合アドベンチャーゲーム。日本エスペラント協会が言語監修に協力)
(梨屋)現在は独自の言語を大切にする多文化共生が主流となっていますが、ヨーロッパの言語をもとに作られたエスペラント語を作品に取り上げたのはなぜですか?
(こまつさん)エスペラントは、それぞれの母語も大切にしています。
「世界中の言葉をエスペラントにしてしまおう」というのではなく、違いを認め合った上で、おたがいが歩み寄るためにエスペラントを使うという考え方が、大らかで魅力的だなと思い、作品のモチーフにしました。
こちらのエスペラント紹介動画が、とても分かりやすく親しみやすいです。 国際語エスペラントって何だろう?
作品にはどんな登場人物が出てきますか?
(こまつさん) 孫の誕生日に生理用品の入ったポーチをプレゼントするアサエさんをはじめ、個性豊かな女性たちが登場します。特定のモデルはいませんが、私は女子校育ちで、就職後も女性の多い環境が長いので、今まで出会った魅力的な人たちがきっと反映されていると思います。
出版社による本の情報サイト
講談社Webメディア「コクリコ」に掲載されたこまつあやこさんのエッセイ「親子で性の話は気恥ずかしい? 子どもと性や生理の話 どう話す?」
作家デビュー後に、変化がありましたか?
(こまつさん) デビューした年に、東京から神奈川に引っ越し、環境が変わりました。
また、作品を通して、生け花やエスペラントなどの未知の世界を知ることができました。
2作目の『ハジメテヒラク』の取材で生け花を習い始め、今もゆっくりなペースで続けています。
こまつあやこさんProfile
東京都出身。神奈川県在住。
児童文学作家・図書館司書。
こまつあやこさん ご協力ありがとうございました。
日本YA作家クラブでは年に二回、図書館や学校図書館、読書推進活動をしている団体様向けに、ニューズレターを発行しています。ニューズレターについての情報は、公式サイトを御覧ください。下の図からリンクしています。
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