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インタビュー 作家の立原透耶さん 『時のきざはし 現代中華SF傑作選』の多彩な世界は、若い人の未来も鮮やかなものに変えてくれます!

新紀元社から2020年に刊行された『時のきざはし 現代中華SF傑作選』について編者の立原透耶さんにうかがいます。



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日本YA作家クラブ 会員インタビュー 第6弾は、会員さんへのアンケートとメールのやりとりをもとに、世話人の梨屋アリエが報告します。最新のYA作品や、みんなが知っているYA作品、YA層に読んで欲しい作品、その他、会員さんの情報としてYA作品以外の本の情報も、発信していきます。掲載順は、会員さんのお仕事のご都合に合わせて、決めていきます。更新は不定期になります。どうぞよろしくお願いします~。
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立原透耶さんにインタビュー

  

立原透耶さんは、小説家で翻訳家、そして今や中華SF紹介の第一人者です! ヒューゴー賞を受賞した劉慈欣著『三体』の日本語版の監修もされています。作家デビューした時は立原とうやさんという筆名で、集英社コバルト文庫や集英社ファンタジー文庫などでSFやファンタジー作品を発表していました。SF小説の分野で長くご活躍されています。


『時のきざはし 現代中華SF傑作選』とは?


(立原さん)中華圏のSF小説を翻訳したアンソロジー集です。

 実は十年以上ずっとやりたかたった企画でした。日本ではなかなか中華圏のSFが知られていなくて、どうしてももっと読んでもらいたかったのです。良い作品、素晴らしい作家がたくさんいるので。


(梨屋)立原さんが作品を選んで、厳選した本なのですね。きれいな表紙で興味がわきます。短編集なら、中華圏やSF小説に馴染がない人にも読みやすそうです。一般書として出版されていますが、読者対象はどのあたりでしょうか?


(立原さん) 20代以上の読者さんがほとんどですが、SFをぜひ若い方に読んでいただきたいまので、高校生以上、もし可能なら中学生の方にも。


(梨屋)若いうちにSF小説に触れることで、空想の楽しさだけでなく、論理的な思考実験の場としても興味を持ってもらえたら、ものの見方が変わってその人の人生がぐんと開けそうですね。


表題はどのようにつけましたか?


(立原さん)「きざはし」というのは「階段」という意味です。収録作品の中にある作品のタイトルです。階段を登ったり降りたりすると、過去や未来に行けるタイムトンネルのような階段があったら、あなたはどうしますか? どこに行きますか?


(梨屋)え~、どこにいこう……。階段の上り下りが億劫なんですが、とりあえず自分の未来は見ないようにして、SDGsがどうなっているのか見てみたい気がします……。過去だったら、ノストラダムスに1999年7の月の件を問いただしたいかも……。

 ラストに収録された短編「時のきざはし」をちょっと読んでみたら、司馬遷が登場していて「おお!? 面白い!」と思いました。歴史ファンタジーっぽさもある、とても雰囲気のあるお話ですね。


出版社の本のサイト


では、ここで、立原さんの「時のきざはし」を下りてみましょう!!

(梨屋) 立原さんの作家デビューのきっかけは、1991年下半期コバルト大賞の読者大賞を受賞されたことですね。実は、20代の立原さんが集英社の雑誌『Cobalt』に作品を連載していたとき、ちょうどわたしは別のPNでコバルト短編小説賞の佳作をいただき、短編作品が商業誌に掲載されたのです。それで当時の雑誌を大切に保管していて、立原さんのお名前を存じ上げていたので、web記事上ですがこうしてインタビューできることがとても嬉しいです。


 1995年刊行の『CITY VICE―慈悲深き夜の街』は中華SFだったように思うのですが、立原さんが中華圏のSFに興味を持ったきっかけがあればお話しいただけますか? また、いわゆる中華SFと中国のSFの違いについても、若い読者の方に向けて少し説明していただけますでしょうか。


(立原さん)三つ目のシリーズですね。中華圏のSFは元々「封神演義」や「平妖伝」、「西遊記」などが好きだったのもありますが、大学で中国語を選択して、せっかくだから中国語で読みたいと思ったのが直接のきっかけです。そのあと「中国SF研究会」に入り、勉強しました。あとは香港によく遊びにいっていたので、その時に原書を買ってきて、頑張って読んだりしました。その後留学して、中国大陸のSFをガンガン読むように。

中華SFは中華圏のSF 、という意味で使っていて、英語で書かれたり、華僑の作家さんだったりも含みます。 中国SFは中国大陸のSF。 華文SFは中国語で書かれたSF。中国大陸や台湾、香港などの作品を指します。

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『三体』の 日本語版の監修を立原さんがしています

 

(梨屋)へぇ~! ありがとうございます。聞いてよかったです。  とすると、ケン・リュウの『紙の動物園』は中華SFで、現在世界中で大ヒット中の『三体』は中国SFや華文SFになるのかな……?



 地域図書館で検索してみたら、立原さんの一作目の本が別の館の開架にあったので、取り寄せてみました……。  あとがきで、小学二年の夏休みに作家になりたいと思ったことや、エドモンド・ハミルトンやロジャー・ゼラズニィへのSF愛とFT愛を語っていらっしゃいました。  あのおとなしそうなメガネっ娘の学生が、いまや日本での中華圏SF紹介の第一人者……という胸熱な立原さんの人生の「時のきざはし」。なんだか、一瞬にして時間旅行をしてきたような気分です。

 ところで、コバルト文庫デビュー時のペンネームは「とうや」さんでしたが、漢字の「透耶」に改名して変化はありますか? はじめから透耶という字を意識して「とうや」を使っていらしたのですか?


(立原さん)受賞時は「立原透耶」でしたが、担当さんに「宝塚みたいな筆名で、画数が多い。読者に覚えてもらえないから変えなさい」と言われて、ひらがなにしました。コバルトを出てから、漢字名に戻しました。特に変化は感じませんが、中華圏の人とやりとりするのに、名前を漢字にしておいてよかったと思います。

著者



立原透耶さんProfile


大阪府出身

北海道在住。

作家、翻訳者、教員



執筆以外の最近の活動や関心ごとを一言おねがいします。


(立原さん)着物の着付け教室やマシンジムに通っています。お仕事以外の趣味はとても大切だなあと感じています!



その他の近刊(翻訳)

2021年6月『中国史SF短篇集-移動迷宮』大恵和実(編集) 共訳

2021年1月『人之彼岸 』郝景芳(著) 共訳新刊情報



立原透耶さん ご協力ありがとうございました。



レター

日本YA作家クラブでは年に二回、図書館や学校図書館、読書推進活動をしている団体様向けに、ニューズレターを発行しています。



ニューズレターについての情報は、公式サイトを御覧ください。下の図からリンクしています。



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